ブルゴーニュ地方のミレジム1999のワインは、あまりにも質にばらつきがあり平均値を出すのが難しいと言われています。ミレジム1999成功のカギは生産高の調整と,9月中旬に降り出した雨の影響如何にあるようです。
シャンパーニュ地方がそうであったように,ブルゴーニュにおいても気象条件的に葡萄の成育には恵まれていた年でした。 6月,葡萄の花が咲く季節。ブルゴーニュ地方の1999年6月は温暖で葡萄の花は非常に恵まれた状況下での開花となりました。この花が葡萄の実へと変わるわけですが,すべての花が実へと姿を変えるわけではありません。その確立は天候に左右されます。1999年はその率が平年に比べ例外的に高かったことが報告されています。降雨量も例年より多く,すでに豊作の兆しがこの頃から見えていました。
7月、優れたワインを作り出している生産者は、雨が多かった6月気象条件に合わせた対策を既にこの時から講じていた様子です。葡萄の一株一株の可能性や、畑全体での生産量を考慮しながら、余計と思われる葡萄の実を摘み取ってしまったり,生い茂る葉を削除して葡萄の実自体にも日光が当るように調節したりというのがその対策の一例です。
それまで青々とした緑色だった葡萄の実が、赤葡萄であれば赤黒く,白葡萄であれば半透明の黄緑色に変わる頃,葡萄の生育に好都合な気象条件は続き,8月の終わり頃,生産過多がそろそろ確信的なものになってきました。 9月の前半はとりわけ日照量が多く,葡萄はこれまでの順調な生育をそのまま続け,とりわけ早成りだったコート・ド・ボーヌ地区では,ヘクタール当りの生産量が制限されていればいるほど見事に熟した葡萄の収穫となりました。
9月18日頃よりブルゴーニュ地方では雨が多くなりはじめました。ブルゴーニュのミレジム1999の出来映えが平均の出しにくい非常に複雑なものになったのはこの雨が原因です。成長途中だった葡萄の実は雨によって実が膨張し、葡萄の実の中の成分が薄くなる結果となりました。ただしコート・ド・ニュイでは雨が降り出してからの収穫が始められたものの,葡萄の衛生状態は奇跡的に保たれている事が報告されています。
コート・ド・ボーヌとコート・ド・ニュイでは葡萄が成熟するのに約8日間の開きがあり,その差が雨の影響を受けるか受けないか,つまり葡萄が質の高いワインを造るのにふさわしい熟成かどうかを分ける結果となりました。1999年,雨が降り出す前に収穫を終えていたコート・ド・ボーヌの葡萄の出来に軍配が上がりそうです。
ところで,この気象条件を受けて,地域の収量の上限は平均40%引き上げられ,56hl/haに設定されました。収量が平年に比べ多い現象はフランス国内あちこちで見られています。
ブルゴーニュは他地域に比べ少なめではありますが,シャルドネ,ピノ・ノワール共に葡萄の質が収量に影響されやすい品種であることが心配の種になっていました。
では、ワインの出来はと言えば,それら生産高と雨の影響という条件をクリアした場合,ニュイサンジョルジュ,ボーヌ,ヴォルネイでは非常に色の濃い,凝縮した,素晴らしい滑らかさを持ったワインが幾つか造られているとのことで,歴史に残るミレジム1959にも並ぶ出来映えという評価さえでています。 その他の地域に関しては,果実味が残る3,4年のうちに消費するのがふさわしいワインが多くなってくるかもしれません。 白に関してはマコンやコート・シャロネーズ地区のものが評価が高くなっています。 |
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