今回は「純米酒」がテーマです。
今回取り上げた蔵元はそれぞれが純米に特別こだわっている蔵元です。
五人娘…この蔵元は蔵で使用するお米が全量有機米であり,すべての仕込みが山廃です。米へのこだわりが高じて100%玄米で仕込んだお酒も造ってしまいました。今回のお酒は純米大吟醸ですが,いわゆるいまはやりの味わいではありません。淡麗な中にも米の旨味と酸味を存分に残し,食中酒としてとても貴重な存在です。どこかワインに通じる味わいを感じさせてくれます。
多加野…数少ない純米酒のみを製造する蔵元です。米の味わいを存分に出し切った芳醇な酒造りを得意とします。この「多加野」は全量地元産の山田錦を使い,食中酒としての位置付けで作られています。2年の熟成により緻密さが出てきて,とても味わい深くなりました。今回のお酒の中では一番食との組み合わせにも幅を持たせられる味わいでした。
神通…今回のお酒の中では最も主張の強い個性派でした。新酒という事もあり,もともとメリハリのはっきりしたダイナミックな酒質がより一層全面に出てきました。和食より洋食に合わせたい味わいです。熟成もとても楽しみなお酒です。
時のいたずら…蔵元は飲んで旨い酒を目指し,いわゆる鑑評会に出して受けるような酒造りからは手を引きました。しっかりと熟成期間をとった旨味の乗った酒造りを信条としています。これは9年も経っているとは思えない味わいでした。米の味わいはしっかりとあるのですが,重すぎず切れも良い。常温からヌル燗ですと最高に美味しくなります。心地良い熟成香が何とも言えませんでした。
大和川…このお酒は当店常連のT氏からの差し入れです。蔵元が純米吟醸を常温で約10年間熟成させたものです。いわゆるミルキーな味わいが出ていて,熟成酒の醍醐味が存分に満喫出来ました。残念なのは300mlしかなくてたっぷり飲めなかったことです。
|