今回は「山廃・生もとの飲み比べ」がテーマです。
常きげんのみがアルコール添加タイプで,あとはすべて純米です。生もと系といえば,よく考えられるのはお燗向きのお酒ということです。ただ,今回は加水タイプ・原酒タイプ・熟成酒・生酒と様々なタイプを取り上げました。一体どうなるのか自分でも全然わかりませんでした。また,常連T氏から6番目の「司牡丹 山廃純米原酒1999年 ベランダ熟成」を差し入れして頂きました。
お酒の提供の仕方は司牡丹と菊姫が常温,それ以外は会が始まる一時間前に冷蔵庫から出して置きましたのでおおむね12,3度というところでしょうか?
ひととおり全アイテムを飲み終わったところで,今度はお燗をしてみました。これがまたとても面白かったです。
大七 生もととはいっても,超扁平精米を行なったお米を使った純米大吟醸です。エレガントな香りとお米の旨味・爽やかな酸味が渾然一体となっています。とても皆さんの評価が高かったです。お燗もまた素晴らしい。ヌル燗で提供しましたが,エレガントな香りは失われず,味わいはふくらみが増し,とても次元の高い味わいになりました。
郷の誉 1997年ものですので,約4年の熟成を経ています。ナッツの香りがほんのり感じて味わいは少し固い印象。お燗をつけると少し膨らみましたが,少し温度が高すぎたせいかきつく感じてしまいました。ヌル燗が良さそうです。温度による許容範囲がわりと狭いタイプです。
五人娘 酸のメリハリがきっちりと利き,コクがありながらも締まった印象。ふくよかというタイプではないが,旨味は十分に感じる。お燗をする豹変しました。香りにコーヒーのようなニュアンスが出て,皆さん驚き!燻製をかけた肉や魚に合わせると絶妙ですね。
常きげん 半年の熟成で,少し柔らかさをまとってきました。香りも素晴らしくバランスが何と言ってもいい酒です。雄大な味わい。お燗をしても,あまり変化せず同じ味わいの印象が続きます。
司牡丹2種 2001年はまだまだ若く,味わいの線も今までのアイテムの中では一番細く感じます。今飲むのなら冷やしめの方が美味しいですね。個人的にはもっと米の旨味を出して欲しいところですが,これが司牡丹流!1999年はT氏が住まいのベランダで光は遮った状態で熟成させたものです。その過酷な状況から考えると予想外な熟成です。熟成香はあるのですが,さして強くなく,皆さん曰く「思ったほどいってないね。おいしいよ!」。私も肩透かしを食ったようで,もっといっていて欲しかった。ほんのりとシェリー風味を感じるスマートな山廃でした。
菊姫 真打登場というところでしょうか?私の大好きなお酒です。最近このお酒を置いている飲み屋さんがないのが悲しいですね(独り言…)。このお酒は不思議にどんな温度でも美味しく飲めるのです。旨味をしっかり持っていながら,それがくどくなくキリッとした酸が引き締めてくれます。常温では酸を一番感じますがふくらみがあるのでこれも良し!個人的にはしっかり冷やした菊姫も,これはこれで大好きなのですが今回はこれはなし。お燗にするとふくらみが出て,このお酒が本当に包容力のある酒だな〜というのがよく分かるのです。今回,「お燗で美味しいと思ったものがない!」という方がいらっしゃいましたが,ものの見事にこの菊姫で「これは美味いわ!」とおっしゃってくださいました。
皆さんとのお話の中で,蔵元に行ってみたいという方がとても多かったでした。よし!来年は蔵元見学ツアー企画するぞ!と誓ったのでした。
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