20世紀最後のワイン会です。いろいろとこのワイン会で出すワインを考えて随分悩みました。メドック1級飲み較べ・やっぱり最後はロマネコンティ。でもよくよく考えてみると,格が上のワインを飲むよりも,熟成を経てきたものの方がなかなか飲む機会もないし,実際に飲んだ経験を持っている方も少ないだろうと考えました。そこで,今回は1945年を取上げました。私はもちろん生まれていません。今回出席して頂いた方は皆さん私よりも若かったので,自分よりも年上のワインを飲むこととなりました。
ルイーズ・ポメリー'87…私の大好きなシャンパーニュです(頻繁には飲めませんけど)。まさに今が飲み頃でした。ナッツを思わせる香りと,深い熟成香。味わいはまろやかで,口の中をなでて咽喉の奥に滑り落ちていきます。至福の時です。パワーを求める方には物足りないかもしれませんが,時の重さを感じさせてくれる一本でした。
プイィ・フュッセ'86…私の好きなドメーヌです。若いうちはとても濃くて,パワーが有り余るほどですが,熟成により,まるでプイィフュッセとは思えない(決してプイィフュッセをけなしている訳ではありません)素晴らしい味わいが花開きます。ブラインドで飲んだらコート・ド・ボーヌの特級と間違いなく言います。とここまで書きましたが,今回のワインは今いちコンディションが良くありませんでした。時間が経つと少し良くなりましたが,本来このワインがもっている味わいを表現しているとは言い難いものがありました。皆さん,ごめんなさい…。
コルトン・プジェ'76…マイ・コレクションです。10年ほど前に仲間とのワイン会で飲んですごく美味しかったので,自分用に買っておいて保管しておいたものです。やっぱり美味しいです。さすがルイ・ジャドのコート・ド・ボーヌを代表するワインです。深い香りと味わいは何にも代えられません。10年の熟成でどうなっているか心配だったのですが,ひと安心です。ブルゴーニュの赤ワインの熟成を十分に堪能できました。
シャンボール・ミュジニー'45…何年か前の吟奏の会の勉強会で飲んで,凄まじく美味しかったので仕入れました。55年も経っているとは思えない若さを持っています。フルーツの美味しさがまさにこの一本に凝縮されています。これを飲んだ皆さんも,このワインの若さに驚いていました。ワインの熟成というのは計り知れないものがありますね。
「後日談」
数日後｢ランファン｣さんに空き瓶を引取りに行ったら,シェフ曰く｢杉浦さん,あの次の日にプイィフュッセを飲んだら美味しかったですよ〜！」ですって！あの香りが抜けて,本来の味わいが出てきたそうです。偉大な生産者のワインはわからないものですね。あの状態から復活するとは！脱帽です。